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【コラム】Buy-to-PlayとMMORPGの組み合わせのリスクとメリット

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現在、MMORPGの料金形態には主に3つのタイプが存在している。

Free-to-Play・・・ゲームにログインするために料金を支払う必要が一切ない
Pay-to-Play・・・月額課金制や定量制など、一定の期間ごとに利用料金を支払う必要がある
Buy-to-Play・・・最初にゲームを購入するとそれ以降は利用料金がかからない


※近年はいずれの料金形態でも「アイテム課金」や「プレミアム制」、「オプションサービス」を導入している場合がほとんどであり、月額料金+アイテム課金のいわゆる「ハイブリッド課金」も多い。

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MMORPG「The Elder Scrolls Online」がPay-to-PlayからBuy-to-Playに料金形態を変更することが1月に発表され、3月17日にこの変更が実施される予定となっている。
ESOは月額課金制のときもパッケージを買う必要があったので、事実上は月額料金の撤廃ということになる。


「The Elder Scrolls Online」 3月17日より月額無料に。PS4/Xbox One版発売日は6月9日


増えだしたBuy-to-Play MMORPG


Buy-to-Playは言ってしまえば昔からあるゲームの販売方法と同じだ。ゲームのパッケージを買えばゲームがプレイできるというごく当たり前のものだ。

2000年代後半に基本プレイ無料のMMORPGが増えていく中で、大作MMORPGは月額課金制、そうでないものは基本プレイ無料+アイテム課金という流れが出来たが、大作タイトルを含む数えきれないほどのMMORPGが月額課金制から基本プレイ無料に移行し、ここ数年でその流れも完全に変わった形だ。


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これまで、オンラインゲームではFPSやRTSなどではよく見かけたが、MMORPGでは少なかった「Buy-to-Play」方式の料金形態を採用するMMORPGが増えてきている。

2012年のギルドウォーズ2を皮切りに、The Secret WorldもBuy-to-Playに移行、また昨今では前述の「Elder Scrolls Online」に加え、「Shroud of the Avatar」や「The Repopulation」、「Crowfall」などがこの方式を採用することになっている。

Buy-to-Playを採用するMMORPGが増えだした理由としては、ネットワーク・サーバー関連のインフラが進歩したことや、基本プレイ無料+アイテム課金制のオンラインゲームが定着したことで、運営側がユーザーの課金アイテムに対する反応というのがある程度予測できるようになったこと、MMORPGというジャンル全体が停滞していることなどが挙げられる。

2000年代中盤~後半のアイテム課金制MMORPGでは、バランスを崩壊するようなものや、課金しなければ攻略できないようなものが導入され、ユーザーの反感を買うということがかなりあった。

そのため、最近のオンラインゲームでは「課金しなくても問題ない」「バランス崩壊するような課金アイテムはない」というような決まり文句を耳にすることがほとんどだ。
もしそういった決まり文句を言っていたゲームで急にバランスに関わるようなアイテムを販売しだしたら、そのゲームが収益の部分で苦労しているか、気が変わって顧客から金を巻き上げるようになったかのいずれかだろう。

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MMORPGにとってBuy-to-Playという料金形態は相応しいのか、また、どんなことが起こることが予想されるのかについて考えてみる。


Buy-to-Playのメリットとデメリット


Buy-to-Playの長所は、基本プレイ無料と同じく月額料金がないのでプレイヤーが好きなときに気軽に戻ってくることができるということや、最初にパッケージを販売するのでメーカー側に一定の収益が保証されるため、バランス崩壊やPay-to-Winに繋がる課金アイテムが導入される可能性が低いということが挙げられる。長く続けるのであれば、3つの料金形態の中では支払うことになる金額は最も少ないかもしれない。

また、月額課金制において、プレイヤーごとに1ヶ月間でプレイする時間が異なるにもかかわらず、支払わなければならない料金は同じという問題点がBuy-to-Playにはないという長所がある。

月額料金を払っているからプレイしないと損した気分になるという精神的な部分の問題が緩和されるというメリットもあるかもしれない。

些細な部分では、月額料金を払う、または支払いをキャンセルする手間が省けるということも挙げられる。

Pay-to-PlayとBuy-to-Playのゲームは、RMT業者やBOTを使用した不正なアカウントを処分し、ゲーム内通貨を凍結した際に、月額料金分あるいはパッケージ料金分のダメージを与えられるという点ではFree-to-Playよりも若干良いのかもしれない。


一方で、Buy-to-Playには短所もいくつか存在する。
最大のデメリットは、発売時にはメーカーは大きな収益を得られるかもしれないが、その後は長期的に安定した収益を得られる保証がないということだろう。
オンラインゲームでなければ、発売後に数回修正パッチを出したり、ちょっとしたDLCを販売する程度で済むかもしれないが、サービスを提供しつつ継続的にアップデートをしなければならないMMORPGでは、安定した収益を得られなければゲームの未来は不安なものになる。

さらに、オンラインFPSやRTSと異なり、MMORPGの場合はコンテンツアップデートを比較的短い間隔で行わなければならず、なおかつその作業量が膨大であるため、余計に不安定な収益は致命的となってくる。
そのためか、Free-to-Playほど極端な課金アイテムはないものの、Buy-to-Playでも獲得経験値の上昇といったタイプの課金アイテムが売られていることが多く、課金した人と無課金の人が完全に公平であることは稀である。

また、パッケージの料金が比較的高め(5000~6000円くらい?)に設定されるため、ベータテストに参加したことがない人にとっては、何らかの形で無料で試す機会が与えられないと、非常にとっつきにくく感じるというデメリットもある。

いずれにせよ、プレイヤーの観点からすればBuy-to-Playはゲームの将来が不透明であるということが一番の懸念になるだろう。



しばらくしたらプレイヤーが離脱するのがわかっている?


Buy-to-Playはある意味では、運営・開発会社が自分たちのゲームの寿命はそこまで長くなく、また、短い間隔で大型のアップデートすることはできないので、数ヶ月で一旦ゲームを離れてしまうプレイヤーがかなりいると想定していると考えることもできる。

月額課金制が主流だった時代のMMORPGは、レベルを上がりづらくしてでもとにかく長く続けさせることが重要だった。
基本プレイ無料+アイテム課金制が流行り始めた頃のMMORPGは、たとえ課金した者勝ちになるアイテムを導入しても、プレイヤーに課金させることが重要視されていた。

近年では月額課金制のオンラインゲーム(ほとんどがMMORPGだが)は長くプレイしてもらうために「コンテンツの量と多様性」が重要視されているし、基本プレイ無料のオンラインゲームはプレイヤーの数はもちろん、そのゲームに課金してもいいと思わせられるような評価を得られるようにすることが重要視されている。

サービスとして継続する以上は長期的に安定した収益を得る必要があり、ビジネスの面から考えるとBuy-to-Playはかなりのリスクを覚悟する必要があるが、途中から料金形態をBuy-to-Playに切り替えた場合は一度離れたプレイヤーが戻ってくることが期待できる。

Buy-to-PlayのMMORPGでは数千円の「拡張パック」を一定間隔で発売するのは月額課金制のMMORPGよりもさらに必要不可欠になってくる。そう考えると、本当は月額課金制にしたいが市場の傾向やゲームのアップデート頻度などを考えると月額料金を取るのが難しい、しかし、基本プレイ無料にすることもできないというMMORPGが妥協点として見出したのがBuy-to-Playの料金形態なのかもしれない。


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3つのビジネスモデルの特徴


終わりに、MMORPGにおける3つのビジネスモデルのそれぞれの特徴をまとめておく。

Free-to-Play(基本プレイ無料)のMMORPG
気軽にゲームを試してみることができるため、正式サービス開始後も新規プレイヤーの流入あるいは離れていたプレイヤーの復帰が見込める一方で、月額料金を払っていないので躊躇なく辞めることもできる。また、運営会社は収益をどのように確保するかを常に考えなければならず、結果的に批判の対象となるような課金アイテムや有料サービスが販売される懸念がある。プレイヤー数が減り続ければサービス終了の判断も早い。無料ということで低年齢層のプレイヤーやRMT業者のトラブルも発生しやすい。言うまでもなく無料であることが最大の長所。

Free-to-Playを採用する主なMMORPG:
ファンタジーアースゼロ
マビノギ
TERA
ArcheAge
Rift
Master of Epic
EverQuest
など多数



Pay-to-Play(月額課金制)のMMORPG
利用料金が発生するため一度離れたプレイヤーが帰ってくる可能性が低いものの、ゲームがある程度の評価を得て一定数のプレイヤーが残ってくれている限り、予想可能で長期的に安定した収益が得られるため、将来のコンテンツアップデートが保証される。「することがなくった状態」が続くとプレイヤーが解約する可能性が高くなり、これが近年において月額課金制のMMORPGが減っていった理由の一つになっている。ゲームの価値を保持することが重要であり、一度信頼を失墜させるようなことをすると致命的となる。基本無料ゲームに比べ、他の月額課金制のゲームと競合しやすい。

Pay-to-Playを採用する主なMMORPG:
ファイナルファンタジーXI
ファイナルファンタジーXIV
ウルティマオンライン
World of Warcraft
EVE Online
タワーオブアイオン
ラグナロクオンライン
など



Buy-to-Play(購入必須・月額無料)のMMORPG
最初にパッケージを購入しなければならないため、プレイヤーにとっては基本プレイ無料よりも敷居が高く、メーカーにとっては最初にお金を払ってもらえるだけ期待できるようなゲームにしなくてはならず、リスクも高い。月額料金がないので一度離れたプレイヤーが復帰しやすく、運営会社が最初に一定の利益を出せるため、Pay-to-Winの課金アイテムが実装されにくい。その一方で、長期的に安定した収益を得られるかは不透明であり、基本プレイ無料のMMORPGほどではないが、プレイヤーからするとゲームの先行きが不透明である。アイテム課金に加え、追加コンテンツの販売や拡張パックの販売が予想される。

Buy-to-Playを採用する主なMMORPG:
Guild Wars(海外サーバー)
Guild Wars 2
The Secret World
Shroud of the Avatar
Elder Scrolls Online(2015年3月より)
など
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Free-to-Playに関しては
そもそも無料でもやりたい・続けたいと思うゲームすら作られていない現状をまず打破してもらいたい
[ 2015/02/17 12:53 ] [ 編集 ]
こういったビジネスモデルの話を聞くと
「もしガンホーがあの時しっかりとオンラインゲーム運営の規範となってくれていれば」
とか
「重課金システムの廃止を早くしてくれれば、BOTの駆逐が出来ていれば」
とか
「韓国のネトゲ給付金目当ての三流企業の参入を止められていれば」
とか
色々とifを思い描いてしまいますね。

でも現実はこれ、ファーマーは今でも蔓延っているし、運営は重課金を続けている。
スマホゲーに移ろうが、ブラウザゲーに移ろうが、止まるどころかもっと酷くなっている。
プレイヤーも開発者も運営も、みんな青色吐息の業界になってしまいました。
[ 2015/02/18 11:35 ] [ 編集 ]
Pay to Playには「一ヶ月分は払ってしまったのでとりあえずアクティベート切れるまでは遊ぶ」という猶予期間がつくというのも大きなメリットでは。
[ 2015/05/24 20:55 ] [ 編集 ]
βがあるなら、Buy-to-Playは歓迎。
FtPは年中オープンβみたいなもんだからいつでもやめれるが、質はほぼ期待できない。
PtPは安定はしているけど、リネIIの時は中華bot完全放置の上に天安門事件を言うだけでGMからバン食らったとかあったな(かなり古い話だけど)
有料アップデートになってしまうだろうけど、結局BtPがどっちにとっても理想なのかもね
ジャンルは違うが、格ゲーは大型アプデをパケ販売でやってたりするし
[ 2015/06/02 15:21 ] [ 編集 ]
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