スマホゲーム「ガチャ課金」の本質。何故か許容される異常な仕組み
年始には、海外メディアが「日本のモバイルゲームのダークサイド」だと報じた。
では、スマートフォンゲームにおける「ガチャ」の本質とは何なのか。

- ついつい課金しすぎてしまい数万円、数十万円、あるいはそれ以上の請求がくる
- どれだけ課金しても欲しいものが手に入らない
- 重課金ゲー
- 確率表示がされていない
- 誇大表示がある
- Pay-to-Win(たくさん課金した者勝ち)
などなど・・・
スマートフォンゲームの「課金」の問題はいまだに多く見受けられる。
その問題の中心には、ランダムに景品が提供される「ガチャガチャ」を真似たアイテム課金が存在することが多い。
ガチャの確率を表示していないとか、入手確率が低すぎるとか、重課金ゲームとか、様々な不平不満の声がユーザーから挙がっており、自主規制案も登場しているが、本質とはかけ離れている。見当違いの討論をしているのだ。
以下の条件に多く当てはまるのなら、そのゲームには上記のような問題が必ず発生する
- 基本プレイ無料である
- 課金要素の中に「ガチャ」や「くじ」が存在する
- ガチャで引き当てる以外の入手法がないカード/アイテムが存在する
- 課金しなければ自力での攻略が困難である
- ガチャで良いカードやアイテムを入手すると攻略がずっと楽になる
なぜなら
- ガチャは最も効率良くユーザーからお金を搾り取れるシステムだから
- ガチャは利用者の金銭感覚を狂わせる事ができるから
- ガチャは射幸心を煽りやすいから
- カードの心理的な価値と実際の価値は乖離しているが、その事はあまり批判されないから
ガチャ課金は高額課金者のために存在する異常な仕組み
基本プレイ無料のスマートフォンゲームの売り上げの大部分は全体の1%にも満たない高額課金(いわゆる廃課金者)に頼っているというデータがあり、彼らにいかに課金してもらえるかが成否を分ける。
基本無料スマホゲームではわずか0.23%のプレイヤーが売上の64%を生み出している
金持ちの人なら、月に数十万円も課金するのはその人にとって何の問題もないし、運営会社とすれば払ってもらえるだけ払ってもらえればありがたいわけだ。
したがって、直接支払いに繋がるシステムとして「ガチャガチャ」のようなランダム型課金アイテムは、レアカードの入手確率をかなり低く設定したとしても、「運が悪いから引き当てられなかった」という理由で全て解決でき、非常に利益率が高く、高額課金者にお金を払ってもらいやすい(=課金誘導しやすい)方法だと言える。
たとえ個別の確率を表示することが義務付けられても、その確率が規制されない限りはいくらでも低くすることができる。
1%でも低いと言えば低いが0.1%などという確率が設定されているゲームも多い。
入手確率を低くしてアイテムやカードの希少性をコミュニティ内で高めつつ、わずかでも獲得者がいることがわかれば、高額課金者はさらに課金してガチャを回してくれるだろう。
他人よりも優位に立ちたいという心理を上手く突いているのが「レア度が異なる多数のアイテム/カード」と「ガチャ」の組み合わせだ。他人より優位に立つという部分を、プレイヤーの腕や努力ではなく支払ったお金で解決してくれる、まさに"Pay-to-Win"というゲームデザインとしては最悪の仕組みが作られている。「手助け」というレベルを逸脱している。
当然だが、子供や中高生が課金しすぎてしまわないように上限を設定できるようなペアレンタルコントロールは必要だ。子供は夢中になりやすいので、すぐに課金してしまいたくなるものだろう。
大人の金持ちに多額の課金をさせるための罠に子供が引っかかって高額課金をしてしまって消費者問題となっているのではないだろうか。
現在、日本のスマートフォンゲームに多く見られる「ガチャ」は、かつてMMORPG等のオンラインゲームのユーザーからは、Pay-to-Win(金を払った者勝ち)になるとして嫌悪されていたシステムだが、スマートフォンゲーム市場がカジュアルゲーマー中心だったのと、非同期型のゲームが多かったことから基本的には広く許容されてしまっている。
数年前にコンプガチャが規制されたが、「ガチャ」という課金要素そのものが既に射幸心を煽っているのでコンプガチャを規制しても問題は大して解決されなかったわけだ。
基本プレイ無料で良心的な課金にするのは至難の業
中には良質でユーザーフレンドリーな課金システムを導入しても大きな収益を上げているゲームもあるが、基本プレイ無料というビジネスモデルではそれが難しいのが現状であり、PC・モバイル問わず、基本プレイ無料ゲームには「重課金」の問題がつきものとなっている。開発や運営もわかっているが、赤字にならないためにどうしても・・・というのが実情だろう。
ガチャやくじのようなランダム型のアイテム課金が法律で禁止あるいは制限されない限りはこの問題が解決されることはないが、他の手段をもって同等の収益を確保するにはゲーム自体の品質が非常に高いレベルにあり、なおかつ人気も得なければならない。
(参考:LoLのコンバージョン率はわずか3.75% 他の企業には真似できない?)
こういうこともあって、PCオンラインゲームの世界では基本プレイ無料+アイテム課金という流行のビジネスモデルから、基本プレイ無料+月額プレミアム制+アイテム課金あるいは購入必須+月額無料+アイテム課金のようなビジネスモデルを選択するゲームも増えている。
今一度、基本無料ではない有料のスマートフォンゲームにも目を向けるべきだが、基本プレイ無料のスマートフォンゲームは片手間に丁度いいので代替できるかはかなり難しいところだ。
筆者とすれば、こんなにユーザーをナメた「ガチャ」なんていう課金システムを導入しているのにたくさんの人がプレイしてくれているので上手くやっているなあと思いつつ、お金に余裕があるのなら自分の満足いくまで課金して好きなゲームのガチャを回せばいいが、自分ならそのお金で他の物でも買うだろうというのが率直な意見だ。それと、スマートフォンゲームのサービスはいつか終了する日が来るかもしれないのでほどほどに、と言うことも忠告させていただく。開発会社は次のゲームも考えている。
読者の方々は日本のスマートフォンゲーム市場における「ガチャ」をどう捉えているのか、忌憚のない意見をお聞かせください。