ゲームにおける「レイド」とは。今更聞けないレイドの意味や語源の紹介

語源と意味
レイドは、英語で「強襲」「急襲」を意味する"Raid"から生まれた用語。
「レイド」はオンラインゲームにおいて、多数のプレイヤーが協力し、少人数では到底倒せない強敵を攻略する事を指す。
最近ではあまり使われなくなったが、多数のプレイヤーが同じく多数のプレイヤーを襲う事をレイドと呼ぶゲームも存在する。
レイドが行われるゾーン自体やそういったコンテンツを「レイド」と呼ぶ場合もある。
ゲームにおけるRaidという概念が生まれたのは、1991年に誕生したテキストベースのオンラインRPG「DikuMUD」だと言われている。そしてDikuMUDの影響を色濃く受けた「EverQuest」で広がりを見せる。
EverQuest
レイドという言葉や概念がはっきりと使われるようになったのは、1999年発売のMMORPG「EverQuest (エバークエスト)」からだ。
レイドはエバークエストが発祥だとする意見も多い。
MMORPG黎明期のゲームであり、システム的にレイドが用意されているわけではなかった。
エバークエストはインスタンスゾーンがないため、パブリックダンジョンにいるボスモンスターを大勢で押しかけて倒す事がレイドと呼ばれていた。
エバークエストのレイドパーティの規模は非常に大きく、50人~100人が珍しくなかった。
この時代のレイドは今と比べると非常に単純なもので、タンクがボスを引きつけ、ダメージディーラーが攻撃し、ヒーラーが回復するという、今のMMORPGの基本中の基本とされる攻略方法だった。
しかし、エバークエストの初期のレイドの設計は極悪なもので、ユーザーのコンテンツ消費速度を抑えるために攻略が到底不可能と思えるような設計がされていたようである。
エバークエストで最も凶悪だと言われていたレイドボス「Kerafyrm」。サーバーのトッププレイヤー約180人が討伐に参加し、3時間かけて討伐に成功した。当時のエバークエストのボスモンスターのHPは多くても200万だったのに対して、Kerafyrmは2億5000万程度のHPだったようで、絶対に倒せないボスとして少なくとも3年間は倒されなかったようである。なお、初討伐の際にはデスペナルティで多くのプレイヤーのレベルが下がったようだ・・・。

強襲という単語は「敵に攻撃の予告をせずに不意に襲撃すること」を意味しており、インスタンスゾーンがなかったエバークエストにおいては、ダンジョンに配置されたボスを大勢で文字通り襲撃する様は「Raid」の意味そのものだと言えるだろう。
World of Warcraft
レイドというゲーム用語が広く知られるようになったのは、2004年サービス開始のMMORPG「World of Warcraft」(WoW)だ。
WoWでは様々なレイドインスタンスダンジョンがコンテンツとして実装された。
WoWの初期に実装されたOnyxia's LairとMolten Coreは40人のレイドインスタンスダンジョンで非常に高い難易度を誇っていた。
▼World of Warcraftの初期の頃から実装されていた「Molten Core」
Molten Coreにはラグナロスをはじめとして10匹のボスが配置されていたが、当初は入り口の敵に全滅させられるパーティが続出し、本当に奥にボスモンスターがいるのか?と疑問を抱くプレイヤーもいたほどだった。
これがきっかけで、レイドは成り行きのぶっつけ本番でクリアできてしまうものというよりは、メンバーを集めて戦術を考えながら攻略していくものというイメージが強くなった。
また、エバークエストの頃のレイドボスの難易度やWoWのレイドの難易度もあり、レイドと言えば攻略が難しいコンテンツだという印象も強いようだ。
インスタンスゾーンのPvEコンテンツで40人を集めるというのは並大抵の事ではなかったため、WoWの後の拡張パックやアップデートでは40人のレイドは姿を消し、10人~25人程度のレイドが多くなった。5人で出来るレイドコンテンツも登場した。
2000年代半ばから後半にかけ、World of WarcraftがMMORPG市場で圧倒的なシェアを持つようになったことで、レイドの定義はだいぶ緩くなり現在に至っている。
50人、100人でボスを攻略していたEverQuestの頃からすると、Destinyのように6人で攻略するものを「レイド」と呼ぶのはまるで別物のように感じられるが、比較的難しいコンテンツであるというのと、一定人数以上のプレイヤーが集まって共に攻略するコンテンツというのが広義として使われているようだ。
▼ファイナルファンタジーXIVのレイド「絶アレキサンダー」