【コラム】モバイルゲームのガチャバブル終焉とリテラシーが高まり始めたユーザー達
ブルームバーグは、「モバイルゲーム業界「金のなる木」ガチャ時代終焉」という見出しで、その勢いが衰えてきていると報じた。

(※本稿ではスマートフォン向けのゲームを「モバイルゲーム」という名称で統一します。)
モバイルゲームは、いわゆるガチャ課金で金脈を掘り当てたように稼ぎまくっていたのが過去10年だが、既にそのピークは過ぎており、ミクシィやガンホーなどの収益は減少している。
白猫プロジェクトのヒットで一躍有名になったコロプラの株価を見ると、2014年に4000円以上だったのが現在は800円程度にまで値下がりしている。

モンストをヒットさせたミクシィも綺麗な右肩下がりで株価が下落をしており、既に投資家達の期待も失われたと言えるだろう。

モバイルゲーム市場の人気はまだまだ衰え知らずではあるが、Fate/Grand Order、ポケモンGO、モンスターストライク、クラッシュロワイヤルなど、一部のタイトルは莫大な収益を上げているものの、全体を見ると、サービスを開始してほんの数ヶ月で終了するゲームも多くなっており、バブル期は終焉を迎えたと考えてもよい。
ユーザーのガチャ課金に対するリテラシー向上
当ブログでも何年も前から、モバイルゲームのガチャは月に100万も200万も課金できる人のために設計されていて、普通の人が課金すべきものではないと指摘してきた。また、ひろゆきこと西村博之氏も以前に「ソシャゲに課金していいのは資産が1億円以上ある人だけ」「(ソシャゲで)絵一つに9万も払ってるオタクは頭が可笑しい」と批判していたことがあった。
モバイルゲーム市場でこれだけガチャという仕組みが利益を上げることができたのは、ユーザーのリテラシーの低さにあった。
スマートフォンが普及した事で、初めて基本プレイ無料・アイテム課金制のオンラインゲームを遊ぶという人が非常に多かったからだ。
2014年に紹介した「倫理的なゲームデザイン」という記事では、「カジュアルゲームではほとんどのプレイヤーはゲームのことを何も知らないが、収益システムには尊重を込めなければならない」という事が言われていた。
しかし、『カジュアルゲーマーは何も知らないから、ギャンブルのような課金システムでも射幸心を煽れば馬鹿みたいに買ってくれるだろう』というのが大半のモバイルゲームが今までやってきたことである。
ところが近年、そういったカジュアルゲーマー達がガチャに慣れてきた事で、課金システムの良し悪しを判断できるリテラシーが培われたと言えるような事が起きている。
新作のモバイルゲームが配信された時に、レビュー欄に大量の低評価がつくことがあるが、この多くは「ガチャが渋い」とか「リセマラがしづらい」とか「ガチャが闇鍋」といった内容である。
つまり、こういったユーザー達は、ゲームの中身で低評価をつけているというより、課金システムが他のゲームと比較した時に適切ではないという観点から低評価をつけているというわけだ。
「ガチャが渋い」という言葉自体、他のゲームのガチャをやった事がある人で、なおかつ自分の中で「標準的なガチャ課金」の基準が作られていなければ出てこない言葉であるため、これがまさにモバイルゲームのガチャバブル終焉を招いた、ユーザーの(ガチャ課金に対する)リテラシーが向上した事が確認できるものだと言えるだろう。(ゲームの内容ではなくガチャで評価されてしまうのはそれはそれで問題だと言えるが・・・)
もちろん、モバイルゲーム市場は今後も成長するだろうし、効率が良いガチャ課金自体はまだ採用されるゲームが多いだろうが、「ガチャ課金でぼろもうけしてやろう」という魂胆で、大した工夫もない平均以下のゲームが長期的に成功するのは以前と比べれば格段に難しくなっているのは明らかだ。
モバイルゲームのガチャで過去に成功を収めた国内企業は、ガチャ課金バブルの終焉で業績に伸び悩むようになり、別の収益源を求めてゲーム以外の事業に乗り出し始めているようだ。