人気下落。MMORPG「ロストアーク」が抱える問題点。半年で「復帰イベント」せざるをえない状況に・・・
なぜ「Lost Ark」は人気を維持できなかったのか、その理由をTHIS IS GAMEの記事から紹介する

SmileGateのMMORPG「Lost Ark」は、昨年11月にサービスを開始し最大同時接続者数が35万人を超え、サービス2ヶ月で30億円を稼ぐなどスタートは順風満帆だった。
現在でも、「ロストアーク」は韓国で最も人気のあるPC向けMMORPGではあるものの、サービス開始当初の勢いは完全に衰えてしまい、4月上旬には早々に「復帰イベント」を行うような状況に陥ってしまっている。長年運営されているメイプルストーリーやリネージュとそれほど大差がない状況のようだ。
開発費100億円、開発期間7年という大作MMORPGで、なおかつサービス開始直後は30万人超えの同時接続数を達成した「Lost Ark」はなぜプレイヤーがここまで減ったのだろうか。その理由を紹介する。
ロストアークの反復型コンテンツに魅力がない
皮肉なことに、オンラインRPGの成否は同じことを何度も繰り返す「反復型のコンテンツ」がどれだけ面白いかにかかっている。反復型のコンテンツがなければ、プレイヤーが長い間オンラインRPGを遊ぶことはない。
オンラインRPGのコンテンツは通常、「1回限りのコンテンツ」と「反復型のコンテンツ」にわけられる。
1回限りのコンテンツとは、メインクエストやそれに関連したカットシーン、新しい地域を訪れる事、難しいレイドをクリアする事などだが、1回限りのコンテンツで得られる感動では、プレイヤーに数ヶ月ゲームを遊んでもらうことはできない。
サブキャラクターを何体も育てる際にはこういった1回限りのコンテンツは面倒にすらなることがある。
反復型のコンテンツは、例えばダンジョンやレイドを周回して装備を集めたり、採集や生産をして装備を作ったりお金を稼いだり、モンスター狩りをしてレアなアイテムを拾ったり、PvPをしてランキングを上げるといったものだ。
「ロストアーク」は、レベルキャップ達成後の反復型コンテンツにこれといった魅力がないという。
「ロストアーク」の反復型コンテンツは、プレイヤーに「強くなった」と感じさせることがほとんどなく、所有欲を呼び起こすようなレアアイテムのドロップもない。アイテムレベルに関係なく手に入れたい装備もそれほど多くない。
ロストアークでは、アイテムファーミングをして装備のアイテムレベルを上げて、次のレイドの入場権を確保するための努力という程度で終わってしまう。
また、DPSメーターもないので、アイテムレベルが上がっても自分の火力がどの程度上がっているのかわかりづらい。
反復型コンテンツの代表格であるレイドだが、ロストアークのレイドはかなり深刻だという。
現在のロストアークの「ガーディアンレイド」には、プレイヤーの成長欲求を満たしてくれるだけの報酬がなく、難易度が上がっても報酬は比例して上がることがない。
また、現在では修正されているものの、ボス戦は緊迫した状況で行われるというよりは、偏った人気職業が中心でアイテムの消費だけでクリアできてしまう事も多かった。職業バランスの悪さもプレイヤーが離れた理由の一つだ。
ロストアークのプレイヤーが反復型のコンテンツをプレイする背景には、「強くなりたい」という信念よりも、「今これやっておかないと遅れてしまう」という認識が強く作用しているとみられている。
これらの反復性のコンテンツには、自分だけができること、自分だけが得られる物がないようだ。時間をかけても得られるものは他のプレイヤー達とほとんど同じ。
1回限りのコンテンツの演出には力を入れているが、プレイヤーを長く留める反復型のコンテンツは退屈だというのが、ロストアークプレイヤー達の共通の反応になっている。
「ジムで地道に筋トレをしても筋肉がつかなければ、いくら施設が良くてトレーナーが親切でも、ジムに行く動機は失われる」
ロストアークのコンテンツはこのように喩えられている。
ロストアークのテーマパークは注目されていない
ロストアークには戦闘だけでなく、収集や生産、カードバトル、好感度、航海といった膨大なコンテンツがある。
したがって、ロストアークは膨大な量のコンテンツを少しずつ解放しながら、プレイヤーが飽きないようにする、いわゆる「テーマパーク型」のRPGだ。
ロストアークの生産や釣り、採集といった非戦闘コンテンツは、ちょっとしたお金を稼ぐ程度のものでしかなく、膨大な時間を費やしてもプレイヤーに特別な優越感を与えることもない。コンテンツは多いが報酬が少なく愛着がわかないものであるという。

ロストアークは「航海」を売りにしていたものの、陸地を海に変えただけに過ぎないという。
ロストアークの海には島があり、水中探査や引き揚げ等も可能だが、その報酬が小さいためすぐに停滞し、プレイヤーによっては単に移動時間だけかかる不要なものになっているようだ。
マビノギのように生活コンテンツをゲームに必要不可欠な要素としては設計されておらず、大航海時代Onlineのように貿易や航海によって他のプレイヤーから羨望の眼差しを集めることもない。
ロストアークの生活コンテンツは「広いだけで、錨を下ろすこともできない浅い海」だと喩えられている。
ロストアークには、反復型コンテンツを地道にプレイするだけの動機付けがなく、戦闘から生活コンテンツまであわせてもMMORPGジャンルの限界を突破できるだけの解決策は見出しにくいという。
THIS IS GAMEは、ロストアークは新クラスを1つ追加したくらいでは何も変わらないだろうとしており、「オンラインRPGの慢性病を治そうとする『ロストアークの処方箋』が明確でないのならば、人気の下降傾向は既に予想されていた通りになるだろう」と結論付けている。
(参考:MMORPGのコンテンツは何を作ろうが3ヶ月で終わる)
ロストアークの人気が半年足らずで落ちたのは、MMORPGでレベルキャップに到達したプレイヤーを長く留めるための反復型のコンテンツで明確な成長や優越感を得ることができず、反復型コンテンツは地道に続ける魅力がないものに感じられてしまうという理由だ。
引用元: THIS IS GAME