「Death Stranding」はMMOの煩わしい部分を排除した非同期型のMMOゲームである理由 はてなブックマーク - 「Death Stranding」はMMOの煩わしい部分を排除した非同期型のMMOゲームである理由

小島秀夫監督の最新作「Death Stranding」(PS4/PC)のオンライン要素がもたらす非同期型のMMO体験

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非同期型のオンライン要素


Death Strandingは、他のプレイヤーと同じ世界を共有することはしないが、間接的に影響を与えることができる「非同期型のMMOゲーム」だと考えられる。

Death Strandingのオンライン要素には次のようなものがある。
  • 他のプレイヤーが建設した装置を利用できる
  • 他のプレイヤーが建設した装置を強化・修理できる
  • 他のプレイヤーが設置した梯子やロープを利用できる
  • 他のプレイヤーが各装置や国道の復旧に投入した素材を一部利用できる
  • 他のプレイヤーが置いたトラックやバイクを使うことができる
  • 自分の持ち物を他のプレイヤーにあげることができる(シェアボックス機能)
  • 自分が落とした荷物が他のプレイヤーの世界に現れる
  • 他のプレイヤーが落とした荷物を代わりに自分が届けることができる
  • 他のプレイヤーが休憩した場所や他のプレイヤーの足跡が表示される
  • 他のプレイヤーが設置した様々な看板が表示される
  • 多くのプレイヤーが通った場所に「けもの道」ができる
  • 他のプレイヤーが自分の世界に影響を与えているあらゆる物事に「いいね」をすることができる
  • 自分が作った装置を他のプレイヤーが利用したのがわかる(「いいね」を受け取れる)
(※上記における「他のプレイヤー」は不特定多数のプレイヤーを意味する)

他のプレイヤーと世界を共有していないからこそ、ゲームバランスを壊さない程度に他のプレイヤーからの協力を得られるようになっている。


MMO特有の煩わしさの排除


例えば、MMORPGでは初心者とベテランの差は大きな問題を生む。
特に近年のインスタンスゾーン中心のMMORPGではこの問題は顕著だ。
一部のゲームでは、初心者がベテランの足を引っ張るしかない設計になっていると言わざるを得ない。
この事は人々がMMORPGをプレイすることを躊躇わせる要因となっている。


一方、Death Strandingはシングルプレイヤーゲームであり、他のプレイヤーとは世界を共有していないので初心者だろうと他のプレイヤーを気にする必要がない。自分のプレイの進捗状況は他のプレイヤーにとっては全く関係のないことだからだ。
しかし、他のプレイヤーからの協力を得ることができるし、他のプレイヤーの存在を感じることもできる。

「一人だけど独りじゃない」
それがDeath Strandingのオンライン機能のテーマだ。


MMORPGに不慣れな人にとって最も厄介なのが「他のプレイヤーとのコミュニケーション」だろう。他者とのコミュニケーションはMMOの醍醐味ではあるが、見ず知らずの人にいきなり声をかけるのはハードルが高い。
しかし、コミュニケーションを取らなければ本当の意味で協力を得られることはない。

近年ではインスタンスダンジョンやレイドのマッチング機能でパーティを"組まされる"ことはあるが、果たしてそれが本当の意味でプレイヤー間の協力だと言えるのかは甚だ疑問である。一言も会話を交わすことなくダンジョンをクリアしてしまうこともできる。
また、MMORPGのオープンワールド上で多数のプレイヤーが一緒にボスと戦うコンテンツがあったとしても、自分の隣で戦っている人は報酬のために参加しているのであって、協力をしているという意識は希薄かもしれない。

MMORPGは利便性を追求していく中で、他者との交流の必要性が少なくなってしまったのは事実だ。
特に最近のモバイルMMORPGの場合は、かつてのMMOの体験ができることは稀だというレベルにまで効率化されている。

また、オンラインゲームにおいては付き物の、他のプレイヤーから暴言を吐かれたとか嫌がらせを受けたといった事も、MMOをプレイすることを躊躇わせる要因となっている。


それなら、もはや他者と直接関わるマルチプレイ要素は入れずに、非同期で間接的に助け合うだけで良いのではないか。

Death Strandingのオンライン要素はそういった非同期型のゲームプレイを突き詰めたようなものになっているため、MMORPGや同期型のオンラインゲームをプレイすることに抵抗感のある人が、煩わしさを感じることなくMMO的な体験ができるという点で優れていると言えるだろう。

「ダークソウル」シリーズでも「緩いつながり」として非同期のオンライン要素が導入されてきたが、Death Strandingでは他のプレイヤーの装置や乗り物が自分の世界に出現するような、より強い影響を与えることができるようになっている。



非同期の協力プレイと競争の排除


自分のために作った物が、他の不特定多数の人のためにもなるというオンラインの体験は実はありそうであまりなかった。あったとしても別の要素に邪魔されていたのが確かだ。

フィールド上に何かを建設するという要素は、世界を共有するMMOゲームの場合は「土地の取り合い」になる。自分が建てた物に文句をつけてくる人がいる可能性がある。
しかし、Death Strandingの場合は世界を共有しておらず、自分の世界では自分が作った物が優先され、他者の建造物は自分の世界から削除することもできるため、他のプレイヤーと競争をする必要がないことがわかる。むしろ他のプレイヤーが作った物が自分の助けになることの方が多い仕組みだ。
やはり、とことんMMOの煩わしい部分だけが排除されたゲームデザインだと言える。

Death Strandingで他のプレイヤーの建造物や他のプレイヤーが置いていった物がフィールドを埋め尽くすというのは、MMORPGが本来やりたかった事、あるいはかつてサンドボックスMMOがやっていた事と同じだ。

フィールドに誰かが建てた「看板」はチャットによるコミュニケーション無しで誰かの意図や親切を感じることができる。




些末なことではあるが、オンラインゲームはリアルタイムで他のプレイヤーとデータのやり取りをしている関係で「一時停止」ができないのが普通だが、Death Strandingは非同期型なのでメニューを開けば一時停止をすることができる。

MMOで他のプレイヤーと協力するということは自分の時間を相手に合わせることも必要となるが、非同期であれば完全に自分の都合だけで行動することができるというような利点も出てくる。

Death Strandingがシングルプレイヤーゲームである事によってオンラインプレイのネガティブな面をほとんど感じることなく、その魅力の一部を存分に体験できるわけだ。


ギルドのようなコミュニティを作ったり、他のプレイヤーと会話したり、多数のプレイヤーと同じ空間で協力するといった、より密接な正真正銘のMMOの協力プレイをしたいのであれば同期型のMMOゲームをプレイするしかないが、広大な世界で不特定多数のプレイヤーと協力するというMMO体験とその満足感を味わうのは非同期のオンラインプレイでも可能であることをDeath Strandingは証明した。それはMMOに抵抗感のある人にとっては歓迎すべきものである。


コメント

Comments 1

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ゆるーい繋がりってのは良いよね。

ただ、言葉として正解はないとは思うが、デスストはMMOなのか?という疑問はある。
インスタンス世界(自分の世界)が、他プレイヤーと相互介入できるという意味では、
MOの延長線上の気がしないでもないが・・・。(まあ言葉遊びだな・・・)

  • 2019/11/27 (Wed) 20:26
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